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AEFバイオノベル 【1】週刊メールマガジン『エスノキッズ 心の学問 「自伝編」「教学編」』バックナンバー 【2】東亜学纂のe伝記小説。冒険、ミワラ〈美童〉、そして幻想。『亜種記』全12巻、順次発刊。著者、南内彬男(なんだいあきお)。 発行、// AeFbp // 東亜学纂。

一息 46【オオカミの後裔記】謎の乙女子(自反に悩む森のミワラ〈美童〉、その心境を語る)『離島疎開13』

後裔記『離島疎開』編(上)
AEFバイオノベル 令和2年11月21日(土)号

一つ、息をつく。

〔 謎の{乙女子|おとめご}(自反に悩む森のミワラ〈美童〉、その心境を語る)〕

 青年のおにいさんが、スピアに顔を向けた。そして、嬉嬉とした表情で、スピアとおれに言った。
 「ゆっくりしていってください。図書資料室もあるし、お昼は社員食堂で、好きなものを食べればいい。退屈はしないはずですが……」
 なぜ急に「ですが……」と、嬉嬉から疑念へとトーンが下がったのかというと、スピアが、あまり身を入れて聴いていなかったからだろうと思う。その証拠に、おにいさんが繋げた言乃葉は、次のようだった。
 「じゃあ、来週の水曜日に、是非またいらっしゃるといい。巡回授業所が開かれる日です。不定期なんですけどね。でも、その日の日替わりランチは、必ず学徒カレーなんです。とびっきり美味しい、本場インドの特製カレーです。心配するほど、辛くもありませんから」

 (べつに、心配なんかしないけど……)と思ったときには、スピアは既におにいさんに背を向けて、辞去の第一歩を踏み出していた。(こいつ、何を考えてるんだかッ!)とは思ったが、シンジイとおにいさんの講釈だけで、今日のところはもう充分なようにも思われた。だったら、訊いとけば良かったかも。谷間に築かれた、不可解な城壁の真相。そして、巡回授業所? で、結局、HGVって何の略? 図書室で退屈しないのは、スピアだけだろッ!

 とまァ、そんなことを考えながら、一つ目の峠を越えるべく、来た道を辿っているそのときだった。飛び出した! 小動物。森の繁みから林道へ。すぐ目の前! 一つの予感が、脳裏を横切る。(こいつまた、みちくさするなッ!) 鹿だ。小さい。角もない。顔だけは、いっちょーこまいに、乙女子の色気がある。メス鹿を見てエロスを感じるおれは、変態かーァ!

 で、案の定だ。スピアと動物の会話を盗み聞きする方法は、既に来た道で心得がある。狭い林道のど真ん中。乙女子、じっとスピアの顔を見据える。小さな身体は、脅えるように固まっている。妙に、スピアの身体が{逞|たくま}しく見える。鹿、その次の瞬間、慌てたように後ろ足を蹴る。前足が、宙に浮く。飛び出してきた繁みと反対側の繁みに、逃げ込もうとしている。そこは、斜面。懸命に、四つ足を蹴っている。そのすぐ背後で、スピアが仁王立ち。そして、言った。

 「ねぇ。どうでもいいけどさァ。逃げるんなら、飛び出さなきゃいいのに。せっかく、上手に隠れてたのに」
 スピアの心から響いてくるその無言の声は、本当にどうでもよさそうで、かったるそうだった。乙女子ちゃんが、応えて言った。
 「そうよね。本当にそうよね。わたしって、ウマシカよねッ! 本当にありがとう。まったく、そのとおりよね」
 乙女子はそう言うと、{脚|あし}の駆動を止めて、スピアにお辞儀をした。すると、スピアがまた言った。
 「そう素直に反省されると、話、終わっちゃうんだけど」
 「話、終わってほしくないのォ?」と、乙女子ちゃん。
 「べつに。てか、さァ。反省して欲しいんじゃなくて、質問に答えて欲しかったんだけど。何で飛び出したか。追加で、もう一つ。反省が素直すぎるっていうか、くどいよッ!」と、スピア。
 「自反よ」と、乙女子。
 「自反^!?^ 知ってるのォ?」と、スピア。
 乙女子、ここでやっと四つ足の動きを止め、振り返って言う。

 「自ら、自分に反える。自分の意思で、自分を顧みるってことね。
 斜面を駆け上がって逃げようとして、{蔓植物|つるしょくぶつ}に{蹴躓|けつまず}いて、『コンコンチキのこん畜生めぇ!』って言って、蔓植物さんに悪態をついて、大きな石くんに八つ当たりをして、思いっきりその石くんを蹴りつけて斜面から蹴落としてしまう鹿がいます。
 でも、そういうのって、{馬鹿|バカ}のほうの鹿だと思うのね。失敗したり失態を見られたりしたときには、『嗚呼、またうっかりしてたわね、わたし。何度失敗したら、自覚できるのかしらん。本当にわたしって、ゲロゲロの骨頂よね』って思う。それが、わたしみたいな、ウマシカの鹿」
 と、乙女子がそこまで言ったところで、スピアがその言乃葉の連なりを切った。

 「いやいや、そこはゲロゲロじゃなくて、ゲゲゲっしょ!」と、スピア。
 「いやいや、ゲゲゲはマズイっしょ! そこは、ゲゲっしょ♪」と、思うおれ。
 「訂正。そこは、『ゲゲっしょ』っしょ!」と、スピア。
 「あなたたちの種では、ゲゲッショッショの骨頂って言うのね。覚えとくわね。ありがとう」と、乙女子ちゃん。
 「あ……」と、スピア。
 「い……」と、おれ。
 乙女子、それを{受け流す|スルーする}。そして、言った。

 「でもねーぇ。それでも、行動はしないといけないって、思うのね。そして、行動したら、必ず反省する。
 でもね。その反省が、{上手|うま}くできないのよ。何を、どんなふうに反省すればいいのか。それが、よく解らないの。あなたたちも、まだ判ってはなさそうね。解ったら、わたしにも教えてくれない?
 わたし、早く大きな雌鹿になって、賢い{子等|こら}をいっぱい産まなきゃなんないの。だから、わたしのお腹の中の胎海も、賢さで満たしておかないとダメなのね。そのためには、今から行動に励んで、自反、自反、自反! これが、わたしたち魅惑の乙女に与えられた天命なの。
 で、えっと……。
 わたし、ちゃんとあなたの質問に答えられたかしらん?
 いくつあったっけぇ? 質問!」

 ここで、おれ。
 生まれ持った美質を、今もって維持している。そのことを証明すべく、スピアと乙女子の会話に割って入るという暴挙に出る。元い。快挙かな♪ 入魂! 気合を入れて、心から言乃葉を放った。
 「うん、あのさァ。もう解ったらから、繁みに戻りなよォ♪」
 スピアが、Vサインを送って来た。そして、言った。
 「サインは、V。やっぱ、アタックだよね♪」

 (まったく! こいつの古典好きも、困ったもんだ。儒学でもアニメでも、何でもかんでも古典なんだからなッ!)と、さして意味のないことを思った。そこで、小鹿の乙女子が起こした行動を見て、(悪いことをしたな)と思った。そこまで、考えが及ばなかったのだ。きっとスピアも、同じことを感じ取ったに違いない。島に帰って、ゆっくり自反しよう。
 そう思っている間もずっと、乙女子は、おれとスピアの顔を交互に伺いながら、如何にも、「そのまま、待っててぇ! まだ、行かないでぇ!」とでも言いたげな愛くるしい眼差しを、{薙|な}ぎ払うように振り撒いている。そして、その行動とは?
 必死で、人生(鹿生)初のVサインに、挑戦していた。
 もし彼女が同じ種だったら、おれは、身命を賭してでも、彼女に懇願していたことだろう。
 「嫁さ、来ないかァ?」と。

2020年11月21日(土) 活きた朝 2:27 {美童名|みわらな} オオカミ 学年 学徒

令和2年11月21日(土)号 一息 46【オオカミの後裔記】謎の乙女子(自反に悩む森のミワラ〈美童〉、その心境を語る)『離島疎開13』

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