AEFノベルズ出版 A.K.F. Novels Publishing

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一息 27【簡単に約束を破る大人。子ども騙しの言い訳。子どもを蔑んで自分を正当化。成長できない愚か者】少年、サギッチ

みなさん、こんばんは。
【後裔記】です。
毎週土曜の夜7時。
今夜も、お届けいたします。
「行動と目的の学」を実践する子どもたちの日記。
読み切りで ♪
《《 ヘッダー 》》

エスノキッズ 心の学問「自伝編」
令和2年7月11日(土)号。


一つ、息(いきを)つく。

初アルバイト。
新聞配達。
不安。

所長のオッチャンの優しい言葉。
「最初は、夕刊からだ。
軒数も少ないし、時間も朝ほどタイトじゃない。
心配しなくても、大丈夫だよ ♪ 」

それでもまだ、不安顔のおれ。
また、所長のオッチャンの優しい声。
「初日は、必ず一緒に廻ることにしてるんだ。
明日は、一緒に廻ろう。
だから、安心してて、大丈夫だから ♪ 」

次の日の昼下がり。
それでも不安で、ちょっと早めに専売所に着いた。
それから少し経つと、ポツ、ポツ、と、おねえさんやおにいさんたちが、やってきた。

広告を挟み込んだり、新聞を束ねてバッサバッサと捌(さば)いたり。
みんな、親切に教えてくれる。

(所長、そろそろかな)
無情に時間は流れる。
(所長、まだかな)
時間は、待ってはくれない。

オバチャンから、丁目と配達する家の名字と配る新聞の名前だけが書かれた簡単なリストを、手渡される。

一人、出発。
探し歩き、それでもどの家かわからないときは、訪ね歩いた。

最後の一紙。
残っているはずのない名前の新聞が残り、残っているはずの新聞は、なぜかすでに配りきって、手元には無かった。

仕方がない。
抜き足差し足忍び足。
リストに書いてある新聞名とは違う夕刊を、そっと郵便受けに差し込む。
そして、逃げるように撤退!

翌日、専売所に着くと、もうすでに何人かが作業をはじめていた。
所長のオッチャンの姿もあった。
オッチャンが、言った。

「一人で大丈夫だったみたいだな。
その調子、その調子。
その調子で頑張れば、大丈夫だから ♪ 」

言葉は、格好いい。
でも心は、格好悪い。
てか、その前に......。
(謝れよ! 約束破ったんだから)
と思っていると、顔に出たのかな......オッチャンが、続けて言った。

「昨日は、大事な飲み会があったんだ。
大人は、たいへんなんだ。
戻れるもんなら、子どもに戻りたいよ。
まったく!」

(「子どもには大事なことなんて何にもないし、気楽で無責任で生きていられるんだから、羨ましいよ。まったく!」

って、聞こえたんですけどォ。

こっちのセリフだよ。
「まったく!」)

と、おれは思った。
けど、口には出さなかった
大人じゃあるまいし、そんな愚か者みたいなことは、しない。

ある日。
いつもの児童公園。
富士山滑り台の頂上。
そろそろ昼メシかなという時間。
おれはスピアに、そんな話をしていた。

すると足下(そっか)に、学徒のオオカミさんの姿。
言わずと知れた、スピアの師匠的存在の兄貴分。

スピアが、慣れた口調で唐突に吠えた。
「ねえ! なんで大人って、謝らないで言い訳しかできないの?」

オオカミさんが、応えて見上げて言った。

「しかできないんじゃない。
奴らにとって必要があるから、そうしてるんだ」

おれとスピアは、やにわに富士山滑り台を滑り降りた。
誰からともなく、パーゴラに据え付けられた背着きベンチに腰かけた。
オオカミさんを挟んで、三人が肩を並べた。
オオカミさんが、言った。

「理性と感情と欲望が悪循環して、成長できない。
だのに身体(からだ)だけは大きくなり、時は無情に流れ去る。
それが、大人っていう生き物さ。

自分のせいじゃないって自分に言い聞かせるために、言い訳を正当化するための理屈を四六時中考えてる。

欲望に負けたとか、つい出来心でやってしまったとか、あまりにも忙しすぎてすっかり忘れてたよとか、屁理屈にもならねえ言い訳を吐いて、それで相手を欺(あざむ)けたと思い込んで、安堵してヘラヘラ笑ってる。

それが、大人っていう生き物さ。
整理して考えれば、すぐに判る。

理性......
夕刊配り初日。一緒に廻ってあげなきゃ!
感情......
飲みに行ったほうが、楽しいんだけどなーァ ♪
欲望......
飲みに行きたい!

結果、約束を破って飲みに行ってしまう。
悪いのは自分じゃなくて、感情と欲望だ。
と、自分の理性に対して言い訳をする。
悪くないんだから、約束を破った相手に誤ったりなんかしない。

他人から非難されると判ってるのにそうするんだから、それと並行して自分正当化するための言い訳......屁理屈を、一所懸命に考えるってわけさ。

他人の目ばっか気にして、自分の理性は、そっちのけ。
それって、自分の人生じゃなくて、他人のための人生じゃないかッ!

人として成長できるかとか、大人になれるなれないとか以前に、自分の人生そのものが存在しない。

人生を持たない人間.......化け物なッ!」

空腹に滅法弱い師弟の二人は、そのあと透かさず家路についた。
一人公園に残されたおれは、何気に思った。

(ピッカピッカの ♪ 一年生 ♪ ってさァ。
背負ってるカバンがピカピカなんじゃなくて、心がピカピカって意味なんだな。

色褪せたお下がりのみすぼらしいカバンを背負ってたって、ピッカピッカの ♪ 一年生 ♪ なんだな v( ̄ー ̄)v )


令和2年7月11日(土)号
一息 27【簡単に約束を破る大人。子ども騙しの言い訳。子どもを蔑んで自分を正当化。成長できない愚か者】少年、サギッチ

【行動と目的の学】

江戸期の儒学者たちは、学問を一つの型にして、学校や家庭に根付かせました。その型が崩壊した現代、廃残したわたしたち民族には、新たなる型が求められています。

美質を生まれ持った子どもたちは、戈(ほこ)を止(とど)めると書く武の心を修めるために、東亜の行動哲学、西洋の目的心理学、民族史と神話、未来と過去の脚本技術などを学んでゆきます。

Japanize Destinies Distribution
『亜種記』『息恒循』『然修録』『後裔記』
JDD 東亜学纂
http://www.akinan.net