東亜学纂 Japanize Destinies Distribution 元気が出る話♪

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一息 13【寺学舎、体験入学。行動の学の実習。心がボロ雑巾! 意外な結末。ぼくの心の正体が、暴かれる】少年、スピア

令和2年4月4日(土)号

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エスノキッズ 心の学問「自伝編」
童心を忘れず、
自然から離れず、
心を元気に ♪ 
エスノキッズと呼ばれた少年少女たちの言乃葉。
読み切りショート。
一息、
毎週土曜日の夜7時。

あきなん.net が、
『後裔記』を、
お届けいたします。
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一息 13【寺学舎、体験入学。行動の学の実習。心がボロ雑巾! 意外な結末。ぼくの心の正体が、暴かれる】少年、スピア


一つ、息(いきを)つく。

ぼくは、頭は鍛えてないけど、心の強さには自信があった。
その理由は、一つ。
心が鍛えられるような境遇で育った、ということ。
でもそれが、根本から崩れ落ちた。
それは、ある日のこと。

ある日は、世界中の子ども達に、平等に、同じ時間が、必ず与えられる。
その日、ぼくのあの日も、その一つだった。

その日を、どう過ごすか、何をやるか、どう思い、何を考え、どのように行動し、喜怒哀楽のどれを選択して、成功者としてその日を結ぶか、それとも、後悔の念を残すか。

最終的には、そのすべてを、ぼくが決めた。

あの日も、その日も、自分が決めた通りになる。
当然だ。
あの日もその日も、たった一つだけど、ぼくに与えられたもの。
ぼくが、主役だ。

見慣れた港、陸と沖波止と無人島を結ぶ石積みの防波堤や、消波ブロック......。
寺学舎のおにいさんやおねえさんたちが、忙(せわ)しく作業をしている。
見ていると、一人のおにいさんに、声をかけられた。

「君ーィ ♪
一緒に、やってみないかァ?
今じゃないよッ!
行動の学の作業実習なんだ。
座学の体験入学も悪くはないけど、おれたちが学んでるのは、行動なんだ。
一緒に座る体験より、一緒に行動する体験の方が、おれたちの学の体験に相応(ふさわ)しいと思うんだ。
もちろん、決めるのは、君だ。
君の一日は、おれの一日じゃないからな ♪
君、名前はァ?
知命してからの名前。
まだ、決めてないかァ......」

「スピア」と、ぼく。

「どういう意味?」と、おにいさん。

「スピアッジャ」と、ぼく。応えて言う。

おにいさんが、言った。

「そっちかァ ♪
いいね!
浜辺だろッ?
じゃあ、海岸実習は、得意分野じゃないか。
次の実習は、来週の月曜日、活きた朝。
君が参加してくれたら、みんなも大喜びさ。
楽しみに待ってるからなァ ♪ 」

「何を持ってくればいいですかァ?」と、ぼく。

「遠足じゃないんだから。
なにも要らないよ。

ただ、クソだけは忘れずに放(ひ)ってこいよなッ!
おれたちゃ、ションベンに関しては素晴らしい進化を遂げた種だが、クソは、進化の日の目を見ずに現在に到っている。
戦時に於(お)いて、クソは、未だに厄介だ。

どうしても我慢ならんとき到(いた)らば、女子の行動を追え!
スッと消えて、然(さ)り気無く戻ってくる。
その機を逃さず、秘技の場所を聞き出すんだッ!
だが、一つ。
忠告しておく。

『うんこかあァ? どこでしてんねん!』なんて訊(き)き方は、アウトーォ!だ。

実証実験済みだが、もし君が、他人の実証実験を信じないタイプの人間なら、それは、致し方ない。
但し、これだけは言っておく。
この実験の行為者は、孫の代まで禍(わざわい)が降りかかる。
それでは、君の孫が可哀想(かわいそう)すぎる。
そこは、勘弁してやれッ!」

「ぼく、は、その、何を、てかぼく......」と、ぼく。言葉を成さない心の上澄みが、言の葉となって口から溢れる。

それを察してか、続けておにいさんが言った。

「何も、心配することなんて無いんだってばァ ♪
君が心配しなきゃなんないのは、活きた朝の、快便だけさ。

君にやってもらいたいのは、掃除だけ。
掃除用具は揃ってるから、君が持ってくるものは、昼めしのオムスビくらいかな。

あッ、やっぱ、遠足だね (^_^;)

みんな、テキパキやってるように、見えるだろッ?
その通りさ。
でもそれは、君が心配になったり不安になったりする理由とはならない。
なぜならば、今日の実習に参加してるあいつらは、おれを含めてみんな、レギュラーだからさ。
おおかたの普段の実習は、ここに、新米の学徒たちが加わる。

まごまご、お笑い ♪
お笑い ♪ まごまご......。

まるで、お笑いフラワー・ムーン劇場さ ♪
だから君は、観客席で箒(ほうき)を前後させながら、フラワー・ムーン劇場を観覧してればいいのさ」

「マザメも 、オオカミさんも、補欠なんだな ♪ 」
と、ぼくは、聞き取れようはずもない、か細い小声で、ひとりごちるのだった。

後から聞いた話だけど、マザメとオオカミさんは、この実習の翌日から、登校拒否!
引きこもって、暫くは家族とさえ面会を拒絶したそうだ。

後からではなく、先に聞きたかった!

籠城を自ら解いたマザメとオオカミさんは、その引きこもりの理由を、ぼくら若輩の少年少女たちに、執念と思えるような熱心さで、解いて回った。

マザメが、言った。

「あたいはさ。
アマテラスの天(あま)の石屋戸(いわやど)籠(ごも)りを体験実習するために、自ら引きこもったのさ。
それであたいは、神話の実践者という栄誉ある称号を授かったのさ」

オオカミさんが、言った。

「骨のある宿題を出されたもんでな。
閉じ籠(こも)って、腰を据えてやっつけてやったまでさッ!」

意外にも(←先輩に対して、敬意の意味での社交辞令)......。
二人のその言葉を信じた若輩少年少女は、一人もいなかった。

そして、いよいよ!
その日が、やってきた。

活きた朝 ♪
見慣れた港、見慣れた海岸に、足を踏み入れる。

実習中の集団の何処(どこ)かしらから......。

◎第一罵声(ばせい)!
「体験の新米が、重役出勤かよッ!
ああいうやつが、おれは一番嫌いなんだッ!
ええッ?
聞こえるように言ってんだよ。
ああいう馬鹿は、ハッキリと言われねーと、わかんねーからなァ。
馬鹿に、聞こえてるといいんだけどなーァ!」

◎第二罵声!
「おいおい!
まさか、おまえ。
手ぶらかよッ!
おまえの仕事の準備は、おれらがやれってかいッ!
ぶったまげたぜぇ。
偉そうにしやがってぇ!
ニヤニヤして、こいつ、他人(ひと)のこと馬鹿にしやがってぇ。
なめんなよーォ、コラコラゴラーァ!」

◎第三罵声!
「あたいのホウキ、貸してやっからさァ。
ほらッ!
ここでも掃いてなッ!
言っとくけど、あたいらの仕事じゃましたら、ぶっ殺す!
てか、あんたさァ、他人(ひと)が親切にホウキ貸してやったってのにさァ。
なによォ!
その、ふてぶてしい顔。
ほんと、マジ、腹が立つ!」

◎第四罵声!
「どこ掃いてんだッ!
これからそこに、ゴミを集めるんじゃないかァ!
無駄なことしやがってぇ。
そんなに、おれらの役に立つことがイヤなのかよッ。
おい、みんな!
こいつ、おれたちのことが、死ぬほど嫌いみたいだぜ。
嫌がらせも、ほどほどにしとけよなッ!
これは、忠告だ」

◎第五罵声!
「てか、てめえーぇ!
そこにいたら、ゴミ、投げれねーだろッ!
邪魔だ。
どけッ!」

◎第六罵声!......陰口の進化形。大声バージョン ♪
「ねえ、ねえ。
あの子ってさァ。
ほんと、頭悪いよねッ!
無神経だし。
なに言っても、無視するしさァ!
ほんと、マジむかつく。
ほら、また無視だよ。
ほんと、腹が立つ!」

何度も「帰ってしまえ!」って思ったけど、その何度目かで、ぼくは帰った。

ここ現場に居(い)てもこの調子、この罵声、皮肉、侮辱、陰謀の数々だ。
黙って帰ったら、後で何を言われ、どんな噂を流布されるか、わかったもんじゃない。
いや、知れたことだ。
その、知れる限りのどれもこれもが、限りなく100%に近いブルーだった。

ぼくを、今日という素晴らしいブルーの実習体験に誘(いざな)ってくれた優しい先達(せんだつ)、その、ぼくより歳の大きい少年の姿は、現場のどこを探しても見当たらなかった。

ぼくは、一番年長そうな、リーダー格と思われる一人の少年に狙いを定め、走り寄った。

長い道のり。

彼の背後にやっと辿り着くと、息の切れ間から、辞去を伝えた。

その少年が、言った。

「やっと、帰ってくれるかァ ♪
ずいぶん、待たされたもんだッ!

ほら、持ってけ。

『途中でケツを割るような情けない男だったら、これをケツの穴にでもねじ込んでやれッ!』って、言われたんだけどさァ。

まァそれは、自分でやってくれ。
他人の手を、汚すもんじゃない。
そんことをしたら、孫の代まで、禍が付いて回るからなッ 」

その横から、口を出す女、一(ひと)。

「そうと決まったら、早く消えてよね ぇ♪
そうしてくれると、あたいたちも、嬉しいし。
Happy♪ Happy♪ ってやつさ」

そのころになると、いろんなことが、もう、どうでもよくなっていた。
また誰かが、口を挟んだようだった。

「まったく。
普通、気づくけどな。
もっと早くに察して、気を利かせて、直ぐに帰るのが普通だろッ?
無神経って、怖いよなッ!
てか、無神経って、長生きするんだよなッ?
羨ましいねーーぇ」

リーダー格の少年の返答を待たずに立ち去ろうとしたぼくに、その少年が、付け足すように口を開いた。

「もし黙って無断で帰ったら、そいつを、おまえんちまで持って行って、おまえの親の面(つら)に叩きつけてやれッ!って、言われたんだけどさァ。

まァ、その手間だけは、省けたよッ ♪
おまえが今日、ここでやった仕事は、それだけだな」

真っ直ぐに家に帰るような気分には、なれなかった。

港の背後に競(せ)り出す半島の山麓。
見渡す限り、墓地と寺院。
長い上り坂。
石畳。
誰の墓所だろう。
境界が、青御影の間知石(けんちいし)で縁取られている。
その石の上に、腰掛ける。
ぼんやりと、遠く海や、列っする島々を見遣る。

リーダー格の少年から投げつけられたのは、小さくてペラペラの、軽い茶封筒が一枚。
親の面に叩きつけても、その手のすぐ先から足下に、ひらひらと舞い落ちてしまうことだろう。

封筒の中には、B4サイズ原稿用紙が一葉。
濃いBか2Bの鉛筆で、それは、書かれていた。

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宿題

一、君には、自分の間違いを素直に認める勇気がない。
それは、何故(なぜ)か。

二、君は、頭痛がすると、自分の頭が悪いと言って、自分の頭に怒りをぶつける。
それは、何故か。

三、君は、気分が落ち込むと、まるでそれが問題であるかのように、深刻に考える。
それは、何故か。

四、深刻に考えた君は、引き続き落ち込むことを決断し、それを実行した。
それは、何故か

五、君は、そんな自分の性格を変えないと、自ら決めてしまった。
みんなが簡単にやっていることなのに、君は、自分の性格を変えることが出来ない。
それは、何故か。
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足下は、挫折。
見渡せば、何処(いずこ)も逆境!

終わらない「ある日」はない。
「その日」も、終わった。


◎後裔記(こうえいき)、今回の登場人物
少年スピア、寺学舎の面々。

◎息恒循(そっこうじゅん)、こぼればなし
東亜の哲学のなかには、美質を放つ語録が、メガたくさんある。

その、一つ。
格物。

格は、正す。
物は、己。
己を、正す。

捉え方が、変わる。
性格が、変わる。

運命の日課は、是(かく)の如(ごと)く。


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なんだいあきお/南内彬男
知命の編纂 since 桜の時令 2020

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